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by honeyrecords

森脇真須味についての考察

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 エッジのきいたシャープな絵と、ひとくせある登場人物が沢山。
 優しすぎて、傷つく多感な年頃の男同士の友情を描かせたら
右にでるものナシ!
 彼女の漫画は多分に小説的で、村上春樹なんて、彼女の作品の
影響受けてるんじゃないの!?ってな疑いまで持ってしまう
始末(私だけかしら?)。
 映画の名シーンのような、印象に残るシーン、台詞がてんこもり。

 彼女のSFものはひねくれていてウィットに富んでいて、
大人のための御伽噺っていう感じ。
 彼女の学生バンドものは、夢のような憧れの物語ではなく、
少女達がこんな学生になりたいと夢見る作品というよりも、
大人になってから、学生時代の揺れ動く感性、将来への漠然とした
不安を思い出してひたるっていう、作品だと思う。

 ただ、ひとつ難点は女性に魅力がないというか、(彼女の
漫画には、女性出てこないものも多い)色気がないと
いうか・・・。妙に骨太でごつい。
 セリフにしたって、大切なセリフは全て男が言う。
 心の琴線に触れるセリフを担当させていない。
 全ての女性(はてしない端役を除く)、豪胆なふりをして、
卑屈で根暗だ。作者は女性に嫌悪感を抱いているのかな?
なんて、勝手に推測してしまったりする。

 その分、男子達は、大人と少年の境目にある、えもいわれぬ
フェロモンをかもしだしています。華奢で細い線で
スラリと伸びたまだ筋肉のついていない10代後半の少年達は
病的なほどの美しさを持ち合わせていますが、強い視線で、
女性的とはちょっと違う、男ならではのしなやかさを持っています。
もう、絶品ですぜ。

 金持ちの貧乏人も、少年も中年も、心は少年のままのとっちゃん
ぼうやばかりです。そして誰もが明日の自分を見つめていて、
恋愛のために死ねるとか、誰かとキスしてときめいてとか、
自分をうっちゃって君を守りたいんだ等、少女漫画の王道といわれる
甘い感情は皆無。少女漫画家的にはどうかという話も出てくるって
ワケです。大衆受けからちょっと外れてしまうワケですな。

 多田由美と同じく、男友達2人の人間関係が大抵物語の
軸となっています。絶対的な神として存在する片方と、支配
されるもう片方。しかし、他の少年期から大人にかけての
一番美しい瞬間を描いた漫画作品と決定的に違うところは、
どちらも大人になり自立していくということ。必然的に青春時代は
過去になり、2人は大人になることによって、離れ離れになります。

 吉田秋生のバナナフィッシュや、カリフォルニア物語、竹宮恵子の
風と樹の詩では片方の死がもう片方の青春時代の終わりの
メタファーとして使われるのとは違い、また、多田由美の漫画の
ように、いつまでも大人にならず、いつまでも時間の停止した
空間を漂う半永久的に続く少年時代を切り取った物語を描くのとは
違い、リアルすぎて認めたくない青春時代が私達の青春時代と同じ
ように、突然終わりを告げるのです。

また、特筆すべきは登場人物の多さ。端役の個性。もう、
誰がいったい主役なのかという程の自己主張をするのです。
その魅力的なことといったら…。
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by honeyrecords | 2004-10-21 20:03 | ロックな漫画